複数棟を持っているオーナーの、修繕計画の立て方

公開 2026年9月9日/更新 2026年9月11日

大規模修繕の施工写真

1棟だけなら「今年やるか、来年やるか」で済みます。3棟、5棟となると、話が変わります。

全部が同じ時期に築15年を迎えるわけではないので、年度ごとに振り分けられる。これは複数棟を持っているオーナー様だけが使える強みです。

まず、棟ごとの「残存年数」を一覧にする

やることはシンプルです。各棟の部位ごとに、あと何年もつかを並べます。

築年 外壁 シーリング 防水 鉄部 優先
A棟(中村区) 築24年 0年 0年 2年 0年 今年
B棟(港区) 築18年 3年 1年 4年 1年 来年
C棟(西区) 築13年 5年 4年 6年 2年 3年後

この表があれば、今年やる棟、来年やる棟が自動的に決まります。「なんとなく古そうなA棟から」ではなく、数字で決められる。

ただし、鉄部だけは別扱いです
上の表でB棟の鉄部が「1年」となっています。鉄部は足場が要らないことが多いので、外壁の年を待たずに単独でやれます。
足場が要る工事は棟ごとにまとめる。足場が要らない工事は、必要な年に単独でやる。これが基本の組み方です。

年度に振り分けるメリット

  • 資金繰りが平準化する:3棟同時なら900万円、3年に分ければ年300万円
  • 経費が毎年立つ修繕費として処理できれば、毎年の利益を平準化できます
  • 空室リスクの分散:全棟同時に足場を組むと、繁忙期に全物件が工事中になりかねません
  • 1棟目の結果を見て、2棟目の仕様を調整できる

まとめて発注すると安くなるのか

正直にお答えすると、「同じ年に、近い場所で」なら安くなる余地があります。

  • 材料の一括手配:同じ塗料をまとめて仕入れられる
  • 職人の移動時間が減る:近隣の物件を連続で施工できる
  • 足場の運搬が効率化:A棟を解体してそのままB棟へ

逆に、離れた場所の物件を「まとめて」と言われても、大きな削減にはなりません。移動と管理の手間が増えるからです。「3棟まとめれば3割引」のような話には、根拠を聞いてください。

棟ごとに、仕様を変えていい

全棟を同じ仕様にする必要はありません。物件の位置づけによって変えるのが合理的です。

その棟の位置づけ おすすめの仕様
長く持つ。子どもに引き継ぐ 塗料のグレードを上げる(フッ素・無機)。次の周期が延びます
10年以内に売却予定 標準グレードで十分。過剰投資は回収できません
空室が多く、てこ入れしたい 共用部(廊下の床・照明・エントランス)に予算を配分
満室で安定している 建物を守る工事(防水・シーリング)を優先。見た目は最低限

計画を「紙」にしておく意味

頭の中にあるだけだと、忘れます。そして忘れているうちに、待てたはずの工事が「待てない工事」になります。

  • 今年やること/来年やること/3年後を1枚にまとめる
  • 各棟の次回の修繕時期と概算を書いておく
  • 相続や売却の話が出たときに、そのまま資料になります
  • 金融機関に融資を相談するときも、計画があると話が早い

10年分の資金計画も作れます

棟ごとの残存年数が分かれば、「今後10年で、いつ、いくら必要か」が計算できます。

例:A棟が今年300万円、B棟が来年450万円、C棟が3年後に280万円、さらに7年後にA棟の防水で120万円——というように並べれば、年間いくら積み立てておけばいいかが具体的に決まります。

複数棟の診断も承ります
1棟ずつ現地を見て、棟ごとの残存年数を一覧にした資料をお出しします。年度への振り分け案までご提案します。全棟のご依頼をいただく必要はありません。「今年はA棟だけ」で構いませんし、他社様に出されても問題ありません。診断は無料です。
診断・お見積りは無料です 部位ごとに「あと何年もつか」を判定した報告書と、数量・単価入りの内訳見積をお渡しします。その場で契約を迫ることはしません。
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