モルタル外壁のひび割れ。リシン・スタッコの塗り替えで気をつけること
公開 2026年9月9日/更新 2026年9月10日
築30年前後の建物に多いのがモルタル外壁です。セメントと砂を練って壁に塗り、その上から仕上げ材を吹き付けたもの。サイディングが普及する前の主流でした。
サイディングとは傷み方も、塗り替えの考え方も違います。
まず、どの仕上げか確認してください
| 仕上げ | 見た目 | 触った感じ |
|---|---|---|
| リシン | 細かい砂粒が吹き付けてある | ザラザラ。爪で引っかくと粒が落ちることも |
| スタッコ | 厚みのある凹凸。重厚な模様 | ゴツゴツ。凹凸が5mm以上 |
| 吹き付けタイル (磁器質ではない) |
丸い凹凸が均一に並ぶ | ツルッとした表面。艶がある |
| ジョリパット等の左官仕上げ | コテの跡や独特の模様 | 意匠性が高い |
仕上げによって、使う塗料と工程が変わります。特にリシンは細かい凹凸に汚れが溜まりやすく、洗浄を丁寧にやらないと密着しません。
モルタルは「ひび割れる材料」です
モルタルは乾燥するときに収縮します。だからひび割れは、ある程度は避けられません。問題は幅と、どこに出ているかです。
- 0.3mm未満のヘアクラック:微弾性フィラー(厚めの下塗り材)で埋まります
- 0.3mm以上:Uカットしてシーリングを充填し、樹脂モルタルで平らに
- 窓の角から斜めに走る:建物の動きが原因。増えていないか記録を
- 浮いている(叩くと空洞音):モルタルが下地から離れています。アンカーピンニングで固定
モルタルは、下地の木や鉄の網(ラス)の上に塗られています。ひび割れから水が入ると、この金網が錆びます。錆びて膨張すると、モルタルを内側から押し出し、大きく剥落します。
ひび割れを放置してはいけない理由は、ここにあります。表面の問題ではなく、内部の話です。
微弾性フィラーの役割
モルタル外壁の塗り替えでよく使われる下塗り材です。通常の下塗りより厚く塗れて、伸びるのが特徴です。
- 細かいひび割れを埋める
- 今後の小さな動きに追従する(すぐには割れない)
- 凹凸を整えて、上塗りの仕上がりを良くする
ただし万能ではありません。大きなひび割れは埋まりませんし、下地が動けば結局割れます。「フィラーを塗るからひび割れは大丈夫」という説明は、正確ではありません。
意匠を残すか、塗りつぶすか
リシンやスタッコの模様を活かすか、平らにするかという選択があります。
| 模様を残す | 塗りつぶす・模様を変える | |
|---|---|---|
| 方法 | 透明または薄い塗料で仕上げる/通常の3回塗り | 厚膜の下塗りで凹凸を埋める/新しい模様を吹き付ける |
| 費用 | 標準 | +500〜1,500円/㎡ |
| 効果 | 建物の雰囲気が変わらない | 印象が大きく変わる。古さが消える |
賃貸物件で「築年数が古く見える」ことが課題なら、模様を変えるのは有効な手です。リシンの粗い質感は、時代を感じさせます。ただし費用は上がります。
モルタル外壁の弱点:シーリングがない
サイディングと違い、モルタルには目地がありません。つまりシーリングの打ち替え費用がかかりません。これはメリットです。
ただし、逆に言えば「動きを逃がす場所がない」ということでもあります。だからひび割れという形で動きが出ます。サッシまわりのシーリングだけは存在するので、そこは打ち替えます。
塗り替えの周期
モルタル外壁は8〜12年が目安です。サイディングよりやや短め。理由は、モルタル自体が水を吸いやすく、塗膜が防水の役割を担っているからです。
チョーキングが出ている状態のモルタルは、水を吸っています。この状態が続くと、内部のラス網が錆び、爆裂につながります。サイディング以上に、塗膜切れを放置しないことが大事です。
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