屋根は塗装・カバー工法・葺き替え、どれを選ぶ?判断の分かれ目

公開 2026年9月9日/更新 2026年9月11日

大規模修繕の施工写真

外壁と違い、屋根には3つの選択肢があります。塗るか、上から重ねるか、剥がして新しくするか。金額は5倍以上変わるので、判断を間違えると大きな損になります。

3つの工法の比較

工法 単価 もち できる条件
塗装 2,200〜3,500円/㎡ 8〜12年 屋根材そのものが健全なこと
カバー工法
(重ね葺き)
8,000〜13,000円/㎡ 25〜30年 下地(野地板)が生きていること。屋根の重量が増えるので構造の確認が必要
葺き替え 12,000〜20,000円/㎡ 30年〜 下地から作り直せる。既存屋根の撤去・処分費が別途

アパートの屋根が100㎡なら、塗装で25〜35万円、カバー工法で80〜130万円、葺き替えで120〜200万円。ただし、1年あたりで見ると差は縮まります。

塗装で済むか、済まないかの分かれ目

いちばん多いのがスレート屋根(コロニアル・カラーベスト)です。判断はこうなります。

  • 色あせ・コケだけ → 塗装でOK
  • 細かいひび割れが数枚 → 割れた枚数を差し替えて塗装
  • 広範囲に割れ・反り・欠け → 塗装しても割れは直らない。カバー工法へ
  • 踏むと割れる、めくれる → 屋根材の寿命。カバーか葺き替え
  • 雨漏りしている → 下地(防水シート・野地板)を確認。腐っていれば葺き替え
塗装で直らないものは、塗装では直りません
当たり前のようですが、ここを曖昧にして「塗れば大丈夫」と言う業者がいます。屋根材が割れている・反っているのを塗装で直すことはできません。塗料は防水膜であって、接着剤でも補強材でもないからです。

アスベストの問題(2004年以前のスレート)

2004年以前に製造されたスレート屋根には、アスベスト(石綿)が含まれている可能性があります。含有している場合、葺き替えでは撤去・処分に法令に沿った手順が必要で、処分費が大きく上がります。

この場合、剥がさずに上から重ねるカバー工法が現実的な選択になることが多いです。アスベストを飛散させずに済み、処分費もかかりません。

2022年からは、一定規模以上の解体・改修工事について事前調査の結果を報告する義務があります。築年数の古い建物で屋根を触る場合は、この点も含めて業者に確認してください。

カバー工法で気をつけること

  • 重量が増えます:ガルバリウム鋼板は軽い(㎡あたり約5kg)ですが、それでも増えることに変わりはありません。建物の構造を確認します
  • 下地が生きていることが前提:野地板が腐っていたらカバーはできません。雨漏りしている屋根は要注意
  • 次回は葺き替えしかできません:2回重ねることはできないので、その次は撤去が必要になります

折板屋根(工場・倉庫・ガレージ)の場合

金属の波板が並んでいる屋根です。アパートより、工場・倉庫でよく見ます。

  • サビが出ている段階 → ケレンして錆止め+塗装(2,500〜4,000円/㎡)
  • 穴が空いている → 部分的な板の交換、または上からのカバー
  • ボルトのサビ折板屋根はボルト部分から錆びます。ボルトキャップの交換だけでも寿命が延びます
  • 断熱・遮熱:遮熱塗料を塗ると、夏場の室内温度が数℃下がります。倉庫や工場では体感で分かります

アパートで多い判断のパターン

築25年前後の木造アパートで、外壁の塗り替え時期に屋根も一緒に検討するケースが最も多いです。このとき:

  • あと10〜15年持てばいい(売却・建て替えの予定がある) → 塗装
  • 次の世代まで引き継ぐ、長く持たせたい → カバー工法(足場を1回で済ませられる今がチャンス)
  • すでに雨漏りしている → 下地の確認から。葺き替えの可能性も

足場は屋根と外壁で共用できます。外壁をやるときに屋根も判断してしまうのが、いちばん無駄がありません。

屋根はドローンで見られます
屋根に上がらなくても、ドローンで撮影して状態を確認できます。オーナー様も、地上のモニターで一緒に見られます。「上がってみたら割れていました」と後から言われるより、確実です。診断は無料です。
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