木造・軽量鉄骨・RC、構造で修繕はどう変わる? 見るべき場所が違います
公開 2026年9月9日/更新 2026年9月10日
「アパートの大規模修繕は築12〜15年」とよく言われますが、構造によって、見るべき場所も周期も変わります。同じ築20年でも、木造と鉄骨では傷んでいる場所が違います。
構造別・弱点と周期
| 構造 | 外壁材 | いちばん先に傷む場所 | 修繕周期 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 窯業系サイディング/モルタル | シーリング、破風・軒天の腐り | 12〜15年 |
| 軽量鉄骨 | サイディング/ALC | 鉄骨階段・手すりのサビ、目地 | 12〜15年 |
| 重量鉄骨 | ALC/押出成形セメント板 | 階段の踏板、屋上防水、目地 | 13〜18年 |
| RC造 | コンクリート/タイル | タイルの浮き、爆裂、屋上防水 | 15〜18年 |
木造:水が入ると「腐る」
木造の怖さは、水が入ると下地そのものが腐ることです。鉄はサビても形が残りますが、木は柔らかくなって支持力を失います。
- 破風(はふ)・軒天:屋根の端の部分。雨が回り込みやすく、いちばん先に傷みます
- サイディングの目地:シーリングが切れると、ボードの裏に水が入って反ります
- バルコニーの床と壁の取り合い:ここからの雨漏りが多い
診断では、軒天のシミと、サイディングの反り・浮きを重点的に見ます。ボードが反っていたら、塗装だけでは戻りません。張り替えか、上から重ねる(カバー工法)の判断になります。
軽量鉄骨:階段が命
軽量鉄骨のアパートで最優先は鉄骨階段です。外壁は15年もっても、階段は5〜7年で塗り替えが必要になります。
踏板の裏側は雨が乾きにくく、腐食が進みます。上を歩いて大丈夫でも、裏が薄くなっていることがあります。穴が空くと塗装では止まらず、交換(1棟120〜300万円)になります。
もうひとつ、軽量鉄骨は建物自体がわずかに動くため、シーリングの切れが木造より早い傾向があります。
重量鉄骨:ALCの目地と屋上
ALC(軽量気泡コンクリート)は、パネルとパネルの継ぎ目が多い外壁材です。目地の数が多いぶん、シーリングの総延長が長くなります。その分、修繕費に占めるシーリングの割合も上がります。
またALCは水を吸いやすい材料なので、塗膜が切れたまま放置すると、内部から傷みます。防水性能を保つ塗料選びが重要になります。
RC造:タイルとコンクリートの中の鉄筋
RC造は最も長持ちしますが、傷み方が深刻です。
- タイルの浮き:剥落すると人身事故に。10年ごとの打診調査が必要(建築基準法12条)
- 爆裂(ばくれつ):ひび割れから水が入り、中の鉄筋がサビて膨張し、コンクリートを押し割る現象。放置すると構造に関わります
- 中性化:コンクリートが年月とともにアルカリ性を失い、鉄筋が錆びやすくなる
爆裂を見つけたら、錆びた鉄筋を露出させて錆を落とし、防錆処理をしてから断面を復旧します。上から塗るだけでは必ず再発します。
木造2階建6戸:180〜320万円/軽量鉄骨3階建9戸:380〜650万円/重量鉄骨4階建12戸:650〜1,100万円/RC5階建20戸:1,200〜2,200万円
同じ戸数でも、構造が変わると倍近く違います。足場の高さと、下地補修の量が主な理由です。
構造が分からないときは
建築確認済証や登記事項証明書に構造が書いてあります。手元にない場合も、現地を見ればほぼ判断できます。外壁材、階段の作り、軒の出方、基礎の形で分かります。
診断の際には、構造に合わせて見る場所を変えています。木造なのに屋上防水の話ばかりする業者、RC造なのに軒天の話をする業者は、建物を見ていない可能性があります。
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