売却前にアパートを修繕すべきか。回収できる工事と、できない工事

公開 2026年9月9日/更新 2026年9月11日

大規模修繕の施工写真

「そろそろ売ろうと思っているが、その前に塗り替えたほうが高く売れますか」
——このご相談、実はけっこういただきます。そして、私たちは「全部やる必要はありません」とお答えすることが多いです。

工事を受注する側がこう言うのは変ですが、順番に説明します。

収益物件の価格は、外観では決まりません

投資家が一棟アパートを買うとき、価格の根拠にするのは利回りです。

価格 ≒ 年間家賃収入 ÷ 期待利回り
たとえば年間家賃収入432万円(6万円×6戸×12ヶ月)、期待利回り8%なら、5,400万円
ここに「外壁がきれい」という項目は入っていません。入るのは「家賃」と「稼働率」だけです。

つまり、300万円かけて外壁を塗っても、家賃と入居率が変わらなければ、売値は300万円上がりません。ここが実需(マイホーム)の売却と決定的に違うところです。

それでも、やる価値がある工事

では意味がないのかというと、そうではありません。売値に効くのではなく、「買い手がつくかどうか」と「値引き交渉」に効きます。

工事 売却前にやる価値 理由
雨漏りの補修 ◎ 必ずやる 雨漏りの告知は必須。あるだけで買い手が減り、大幅な指値(値引き交渉)が入ります
鉄骨階段の腐食補修 ◎ 必ずやる 買い手が「引き渡し後すぐに200万円かかる」と判断し、その分値引かれます
空室の内装 ○ やる 満室にすれば利回りが上がり、価格の計算式そのものが変わります
共用廊下の長尺シート △ 費用対効果は微妙 内見の印象は良くなるが、価格には反映されにくい
外壁の全面塗装 × おすすめしない 300万円かけても売値は上がりにくい。買い手は「築年数なりの状態」を織り込んでいます
屋根のカバー工法 × おすすめしない 同上。買い手が自分で判断したい部分です

判断の基準は「指値されるかどうか」

買い手(特に投資家)は、内見のときに「引き渡し後、いくらかかるか」を計算しています。そして、その金額を値引き交渉の材料にします。

  • 放っておくと危ない状態雨漏り・階段の腐食)→ 満額で指値されます。直したほうが得
  • いずれ必要になる工事(外壁の塗り替え)→ 買い手も織り込み済み。直しても評価されにくい

つまり、「危険なもの」だけ直して、「時間が経てば誰でも必要になるもの」は残す。これがいちばん合理的です。

逆に、まだ売らないなら話は別です
あと10年持つつもりなら、外装工事は家賃の維持と空室対策として意味を持ちます。判断が変わるのは「いつ手放すか」だけです。
だから私たちは、診断のときに必ず「この建物をあと何年お持ちですか」を伺います。5年以内に売るご予定なら、無機塗料は明確にオーバースペックです。

売却前でも、診断報告書は役に立ちます

工事をしない場合でも、建物の状態を書面にしておくと売却時に効きます。

  • 買い手からの「この建物、あとどれくらい持ちますか」に、書面で答えられる
  • 「いま何が必要で、何は数年待てるか」を示せば、根拠のない指値を防げます
  • 雨漏りなど告知すべき事項の整理にもなります(隠して売ると、後で契約不適合責任を問われます)

診断・報告書は無料でお出ししています。工事のご依頼がなくても構いません。

建て替えとの比較

築40年を超えていて、修繕に1,000万円かかるなら、建て替えや売却も選択肢に入ります。ざっくりした比較の目安は:

  • 修繕費が、その建物であと10年に得られる家賃収入の3割を超える → 建て替え・売却も検討
  • 土地の値段が高いエリア → 建て替えのほうが有利なことが多い
  • まだ入居率が高く、修繕が数百万円で収まる → 直して持ち続けるほうが有利

私たちは建て替えの営業はしません。「今回は直さないほうがいいと思います」とお伝えすることもあります。判断の材料だけ、正確にお出しします。

診断・お見積りは無料です 部位ごとに「あと何年もつか」を判定した報告書と、数量・単価入りの内訳見積をお渡しします。その場で契約を迫ることはしません。
メニュー
HOME アパート ビル・店舗 工事メニュー 費用の目安 施工実績 コラム 対応エリア 会社案内 0120-30-2060 無料建物診断
電話する 無料建物診断