賃貸オーナーの点検義務、どこまで? 建物に関する法律の整理
公開 2026年9月9日/更新 2026年9月11日
賃貸物件を持っていると、「やらなければいけない点検」と「義務ではないが、やっていないと責任を問われる管理」の2つがあります。
意外と整理されていないので、ここでまとめます。※制度の詳細や対象範囲は建物の規模・用途で変わります。個別の判断は名古屋市の担当課や専門家にご確認ください。
1. 法律で定められた点検
| 点検 | 根拠 | 対象 | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 特定建築物の定期調査 | 建築基準法12条 | 用途・規模で指定された建物(共同住宅なら一定の階数・面積以上) | おおむね3年ごと(特定行政庁が指定) |
| 外壁の全面打診 | 同上(告示) | タイル張り等の外壁。竣工・前回打診から10年超 | 10年ごと |
| 建築設備の定期検査 | 建築基準法12条 | 換気・排煙・非常照明など | おおむね1年ごと |
| 消防用設備等の点検 | 消防法17条の3の3 | 消火器・自動火災報知設備など | 機器点検6ヶ月/総合点検1年、報告は用途による |
| 専用水道・簡易専用水道の検査 | 水道法 | 受水槽の有効容量が10㎥を超えるもの | 1年ごと |
| 浄化槽の保守点検・清掃 | 浄化槽法 | 浄化槽のある建物 | 法定回数 |
| エレベーターの定期検査 | 建築基準法12条 | 設置している建物 | 1年ごと |
小規模なアパートは、対象外のことが多い
木造2階建6戸のアパートなら、建築基準法12条の定期報告の対象外であることがほとんどです。ただし消防設備(自動火災報知設備など)は、設置していれば点検が必要です。
自分の建物が何の対象になるかは、名古屋市の建築指導の窓口と、所轄の消防署に聞くのが確実です。管理会社が入っていれば、把握しているはずです。
木造2階建6戸のアパートなら、建築基準法12条の定期報告の対象外であることがほとんどです。ただし消防設備(自動火災報知設備など)は、設置していれば点検が必要です。
自分の建物が何の対象になるかは、名古屋市の建築指導の窓口と、所轄の消防署に聞くのが確実です。管理会社が入っていれば、把握しているはずです。
2. 義務ではないが、やっていないと責任を問われるもの
ここが本題です。法定点検の対象外でも、建物の管理責任はオーナーにあります。
民法717条は、土地の工作物の設置・保存に瑕疵があって他人に損害が生じたとき、占有者または所有者が責任を負うと定めています。所有者の責任は、注意を尽くしていても免れにくい性質のものとされています。
これらは「点検義務」として法律に書かれているわけではありません。しかし事故が起きたとき、「適切に管理していたか」が問われます。
だから「記録」が守ってくれます
定期的に診断を受けて、報告書を残しておくこと。これ自体が「適切に管理していた」という事実の記録になります。
- 年1回でも、建物の状態を書面で記録しておく
- 指摘された箇所にいつ対応したかも残す
- すぐ直せない場合も、「◯年に実施予定」と計画に入れておく
逆に、指摘を受けていたのに何年も放置した記録が残っていると、不利に働く可能性があります。計画に入れて、順番に手を打っている状態にしておくのが理想です。
年間のスケジュール例
| 時期 | やること |
|---|---|
| 春(4〜5月) | 外部の目視点検。冬の凍害・シーリングの状態を確認 |
| 梅雨前(6月) | 雨樋・排水口の掃除。屋上の詰まりを取る |
| 台風シーズン前(8月) | 屋根・板金・アンテナ・仮設物の固定を確認 |
| 秋(10〜11月) | 台風後の点検。落ち葉が詰まる前に樋の掃除 |
| 年末 | 共用灯の球切れ、階段の滑り止め、防犯灯の確認 |
| 随時 | 消防設備点検(業者)、法定点検(対象なら) |
費用がかかるのは法定点検と業者による診断だけで、樋の掃除と目視確認は自分でもできます。この2つだけでも、雨漏りの多くは防げます。
入居者からの申告は、記録に残す
「雨漏りしています」「階段がグラつきます」という連絡があったら、日付と内容、対応をメモしてください。対応が遅れた場合、その記録がないと「いつ知ったか」が曖昧になります。
すぐ直せないときも、「確認しました。◯月に工事します」と返答した記録があるかどうかで、立場が変わります。
年1回の点検を、記録として残しませんか
診断と報告書は無料です。工事のご依頼がなくても構いません。「今年はこの状態でした」という記録が積み重なると、次の修繕の判断も、万一のときの証明も楽になります。
診断と報告書は無料です。工事のご依頼がなくても構いません。「今年はこの状態でした」という記録が積み重なると、次の修繕の判断も、万一のときの証明も楽になります。
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