アパート1棟、30年でいくらかかる? 修繕費の年表を作りました
公開 2026年9月9日/更新 2026年9月11日
「大規模修繕っていくらかかりますか」と聞かれたら、私たちは1回分の金額を答えます。でも本当に知りたいのは、たぶん「この建物を持ち続けると、トータルでいくら出ていくのか」ではないでしょうか。
そこで、築12年から30年間の支出を、年表にしてみました。名古屋市内の実勢価格で計算しています。
ケース1:木造アパート 2階建6戸
家賃6万円×6戸=月36万円/年432万円の物件を想定します。
| 築年 | やること | 費用 | 累計 |
|---|---|---|---|
| 12年 | 診断のみ(工事は不要と判断) | 0 | 0 |
| 13年 | 鉄部(階段・手すり)塗装 | 35万 | 35万 |
| 15年 | 大規模修繕1回目(足場・外壁・屋根・シーリング・鉄部) | 260万 | 295万 |
| 20年 | 鉄部塗装 | 38万 | 333万 |
| 22年 | ベランダ防水のトップコート塗り替え | 15万 | 348万 |
| 25年 | 鉄部塗装+共用廊下の長尺シート | 93万 | 441万 |
| 28年 | 大規模修繕2回目(下地補修が増える) | 340万 | 781万 |
| 32年 | ベランダ防水の更新 | 45万 | 826万 |
| 34年 | 鉄部(踏板の部分補修を含む) | 90万 | 916万 |
| 38年 | 付帯部の交換(雨樋・破風の板金巻き) | 85万 | 1,001万 |
| 42年 | 大規模修繕3回目 or 建て替えの判断 | ー | ー |
30年で約1,000万円。年あたり33万円。
年間家賃収入432万円に対して7.7%です。
月に直すと約28,000円。1戸あたり4,600円を修繕用に取り分けておけば、借入なしで回せる計算になります。
年間家賃収入432万円に対して7.7%です。
月に直すと約28,000円。1戸あたり4,600円を修繕用に取り分けておけば、借入なしで回せる計算になります。
ケース2:軽量鉄骨 3階建9戸
家賃5.5万円×9戸=月49.5万円/年594万円。
| 築年 | やること | 費用 | 累計 |
|---|---|---|---|
| 13年 | 鉄骨階段・手すりの塗装 | 60万 | 60万 |
| 15年 | 大規模修繕1回目(足場・外壁・シーリング・鉄部・屋上防水) | 520万 | 580万 |
| 20年 | 鉄骨階段の塗装 | 65万 | 645万 |
| 21年 | 屋上防水のトップコート | 25万 | 670万 |
| 25年 | 鉄骨階段(部分補修あり)+長尺シート | 180万 | 850万 |
| 28年 | 大規模修繕2回目(下地補修増・屋上防水更新) | 760万 | 1,610万 |
| 33年 | 鉄骨階段の踏板交換(腐食が進行) | 220万 | 1,830万 |
| 36年 | 屋上防水のトップコート・付帯部 | 80万 | 1,910万 |
| 40年 | 大規模修繕3回目 or 建て替えの判断 | ー | ー |
約1,900万円/年64万円。家賃収入の10.7%です。木造より比率が高いのは、鉄骨階段があるためです。ここだけで累計525万円かかっています。
ケース3:RCマンション 5階建20戸
家賃6.5万円×20戸=月130万円/年1,560万円。
| 築年 | やること | 費用 | 累計 |
|---|---|---|---|
| 15年 | 打診調査+鉄部塗装 | 120万 | 120万 |
| 18年 | 大規模修繕1回目(外壁・タイル補修・シーリング・屋上防水) | 1,700万 | 1,820万 |
| 23年 | 屋上防水のトップコート・鉄部 | 150万 | 1,970万 |
| 28年 | 打診調査+共用部の改修(長尺シート・照明) | 380万 | 2,350万 |
| 32年 | 大規模修繕2回目(爆裂補修が加わる) | 2,200万 | 4,550万 |
| 38年 | 屋上防水の更新・鉄部・打診調査 | 550万 | 5,100万 |
| 45年 | 大規模修繕3回目 | ー | ー |
約5,100万円/年170万円。家賃収入の10.9%です。
3つを並べると
| 建物 | 30年の外装修繕費 | 年あたり | 家賃収入比 | 1戸あたり月 |
|---|---|---|---|---|
| 木造6戸 | 約1,000万円 | 33万円 | 7.7% | 約4,600円 |
| 軽量鉄骨9戸 | 約1,900万円 | 64万円 | 10.7% | 約5,900円 |
| RC20戸 | 約5,100万円 | 170万円 | 10.9% | 約7,100円 |
目安としては、家賃収入の8〜11%、1戸あたり月5,000〜7,000円。これが外装修繕の実勢です。
この表に入っていないもの
正直にお伝えします。上の表は外装だけです。実際にはこれ以外に、次の支出があります。
- 室内の原状回復:退去のたびに1戸5〜25万円
- 給湯器・エアコンの交換:1台8〜25万円。10〜15年周期で全戸分
- 水回りの設備更新:ユニットバス・キッチンは築25〜30年で検討
- 受水槽・ポンプ(ある建物):15〜20年で更新
- 消防設備・法定点検:年数万円〜
これらを含めると、実際の修繕支出は上の表の1.5〜2倍になります。だから「家賃収入の15〜20%は建物に戻る」と考えておくと、現実に近くなります。
自分で同じ表を作る手順
この記事の表は一般的な想定です。ご自身の建物で作るなら、こうします。
- ① 部位ごとの残存年数を出す(診断報告書があれば書いてあります)
- ② それぞれの周期を足していく(外壁12〜15年、防水10〜13年、鉄部5〜7年、長尺シート15年)
- ③ 各工事の概算を入れる(当社の費用ページの単価表が使えます)
- ④ 足場が必要な工事は、同じ年にまとめる(ここがいちばん効きます)
- ⑤ 累計を出して、年数で割る
④が最大のポイントです
上の木造の表では、足場を2回(15年目と28年目)しか組んでいません。もし外壁・屋根・シーリングをバラバラの年にやると、足場を5回組むことになり、それだけで150万円ほど余分にかかります。
逆に言えば、年表を作ってまとめるだけで、150万円の差が生まれるということです。
上の木造の表では、足場を2回(15年目と28年目)しか組んでいません。もし外壁・屋根・シーリングをバラバラの年にやると、足場を5回組むことになり、それだけで150万円ほど余分にかかります。
逆に言えば、年表を作ってまとめるだけで、150万円の差が生まれるということです。
数字が見えると、判断が変わります
「あと10年でいくらかかるか」が分かっていれば、次のことが決められます。
- いまいくら積み立てておくべきか
- 塗料のグレードを上げる価値があるか(周期が延びれば足場代が減る)
- この建物を持ち続けるか、売るか(売却前の記事もあわせてどうぞ)
- 複数棟あるなら、どの年にどの棟をやるか
お持ちの建物で、この表を作ります
現地を見て、部位ごとの残存年数を判定し、今後20〜30年の修繕支出の年表をお出しします。工事のご依頼がなくても構いません。金融機関への相談資料や、売却の判断材料としてもお使いいただけます。診断・報告書は無料です。
現地を見て、部位ごとの残存年数を判定し、今後20〜30年の修繕支出の年表をお出しします。工事のご依頼がなくても構いません。金融機関への相談資料や、売却の判断材料としてもお使いいただけます。診断・報告書は無料です。
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診断・お見積りは無料です
部位ごとに「あと何年もつか」を判定した報告書と、数量・単価入りの内訳見積をお渡しします。その場で契約を迫ることはしません。