マンション管理組合の大規模修繕。理事会で決めるまでの進め方

公開 2026年9月9日/更新 2026年9月11日

大規模修繕の施工写真

賃貸オーナー様と違い、管理組合の大規模修繕は「決めること」そのものが仕事の半分です。お金は共有の積立金、決めるのは住民の合意。ここに時間がかかります。

この記事は、理事や修繕委員になった方に向けて、着工までの流れと期間を整理したものです。

着工までは、1年〜1年半かかります

段階 やること 期間の目安
1. 修繕委員会の立ち上げ 理事会の下に専門委員会を設置。任期をまたぐため 1〜2ヶ月
2. 建物診断 劣化診断を実施し、何をやるべきか把握する 1〜2ヶ月
3. 修繕計画・予算の検討 積立金の残高と工事内容をすり合わせる 2〜3ヶ月
4. 業者の選定 数社から見積もりを取り、ヒアリング・比較 2〜3ヶ月
5. 説明会 住民への説明。質問と不安に答える 1ヶ月
6. 総会での決議 工事内容・金額・業者を決議 年1回の総会に合わせる
7. 着工準備・着工 工程の調整、住民への周知 1〜2ヶ月

総会が年1回しかないことが、期間を長くする最大の要因です。総会に間に合わなければ、そこから1年待つことになります。逆算して動く必要があります。

決議に必要な賛成の数

マンションの管理は区分所有法と管理規約に沿って進みます。一般に:

  • 通常の修繕(原状回復にあたるもの):普通決議(区分所有者と議決権の各過半数)で足りることが多い
  • 共用部分の変更をともなうもの:規約により特別決議(各3/4以上)が必要になる場合があります

実務では、大規模修繕の多くは普通決議で進められますが、エレベーターの新設や間取りに関わる変更など「形状・効用の著しい変更」にあたるものは扱いが変わります。まず管理規約を確認してください。判断に迷う場合は、マンション管理士や弁護士へ。

発注方式は2つ

責任施工方式 設計監理方式
やり方 施工会社に診断から工事まで一括で頼む 設計事務所が仕様を作り、施工会社を競争入札にかける。工事中も設計事務所が監理
費用 ◎ 設計監理料がかからない △ 工事費の5〜10%程度の監理料
透明性 △ 施工会社が仕様を決めるので、比較しにくい ◎ 同じ仕様で複数社が入札するので比較しやすい
向く規模 〜50戸程度 50戸以上、または住民間で意見が割れている場合
どちらにも注意点があります
責任施工方式は1社の言うことしか比較材料がないのが弱点。だから最低3社から、同じ条件で見積もりを取ってください。
設計監理方式は透明性が高い一方、設計事務所と施工会社が実質的につながっているケースが問題になったこともあります。設計事務所の選定も、複数から選ぶのが安全です。

比較のとき、同じ土俵に乗せる

各社が別々の仕様で見積もりを出すと、金額だけ見ても意味がありません。数量を揃えてもらってください。

  • 足場の掛け面積(㎡)が各社で大きく違わないか(違うなら、どちらかが測っていません)
  • 外壁の塗り面積(㎡)、シーリングの長さ(m)
  • 下地補修の数量の想定(「実数精算」なのか「一式」なのか。ここで後から差がつきます)
  • 塗料・防水材の商品名とグレード

数量が揃っていれば、あとは単価と会社の信頼性の比較になります。ここまで整理して総会に出せば、住民も判断できます。

住民への説明で必ず聞かれること

  • 「工事期間はどれくらい?」→ 規模による。50戸程度なら3〜4ヶ月
  • 「洗濯物はいつ干せない?」→ 高圧洗浄と塗装の日。事前に日程表を配布
  • 「窓は開けられる?」→ 塗装中は閉めていただく日があります
  • 「足場から入られない?」→ 防犯センサー・侵入防止パネルの設置を仕様に入れる
  • 「積立金は足りるの?」→ ここがいちばん大事。不足する場合は一時金か借入の議論に
診断だけのご依頼も承ります
「まず何をやるべきか、いくらかかるかを知りたい」という段階で構いません。劣化診断と概算をまとめた報告書をお出しします。理事会・修繕委員会での検討資料としてお使いいただけます。他社様に発注される場合でも問題ありません。
診断・お見積りは無料です 部位ごとに「あと何年もつか」を判定した報告書と、数量・単価入りの内訳見積をお渡しします。その場で契約を迫ることはしません。
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